【RIZIN25】朝倉未来vs斎藤裕の感想|判定結果や今後のフェザー級について

RIZINフェザー級タイトルマッチ「朝倉未来vs斎藤裕」

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△煽り動画

先日、2020年11月21日に行われたRIZIN25大阪大会にて、初代フェザー級タイトルマッチ「朝倉未来vs斎藤裕」の対戦が行われました。

RIZINフェザー級(66.0㎏以下)の王者を決めるこの対決。朝倉未来の知名度の高さが大いに影響して、かなり注目をされた対戦でした。その証拠として、対戦前からどちらが勝つのか?といった勝敗予想の動画がYouTube上に沢山あげられていたほど。

今回の記事では、この対戦について、試合の結果や感想、今後のフェザー級の展望などについてお話ししていきたいと思います。

下馬評では朝倉未来が有利だったが

下馬評では、「朝倉未来が勝利するだろう」という意見が多く、オッズ的には「7:3」くらいの割合でした。しかし、勝敗予想の動画は数多く上がっていたものの、そのほとんどが朝倉未来の強さにフォーカスしたもので、斎藤裕の強さについて正しく深堀できている動画少ない印象がありました。

斎藤裕は、第10代修斗世界フェザー級王者であり、国内のMMAにおいてトップクラスの実力者ですが、ネット上における情報が少なく、YouTubeで確認できる直近の試合はRIZIN23での摩嶋一整戦のみ。海外の強豪選手と対戦している履歴が動画として残っていなかったので、本当に強いのかどうかが判断しづらく、修斗ファンは重々その強さを理解していると思いますが、私も含めライトファンが多いRIZIN観戦者にとっては、未知の選手でした。

反対に朝倉未来は、ジョン・マカパやグスタボなど、海外での活躍経験がある選手を倒しています。そのため、朝倉未来の勝利に意見が偏るのは必然だったのかなと思います。

結果は斎藤裕の勝利。朝倉未来、まさかの敗北

先ほどお話しした通り、下馬評では情報の少なさ故か斎藤裕が不利という意見が大多数を占めていました。しかし結果は、3-0で斎藤裕の判定勝利。朝倉未来は、2017年の10月18日以来(ROAD FC 043 イ・ギルウ戦)、およそ3年ぶりの敗北。RIZIN参戦後、7連勝と勢いに乗っていた朝倉未来を、老舗MMA団体の王者である斎藤裕が下すという結果になりました。

試合の感想|朝倉未来vs斎藤裕の感想

それでは、実際の試合について感想を述べていきます。

斎藤裕のアグレッシブさとテイクダウンが試合の明暗を分けた?

まず、試合の内容についてですが、構図としては、カウンターを狙いスタンドで戦おうとする朝倉未来と、打撃を主軸に据えながらも要所でテイクダウンを狙う斎藤裕、という形で試合は進んでいました。一方的な展開はほとんどなく、ほぼ互角に近い感じです。斎藤が前に出てパンチを振り回し、朝倉未来がそれに対応してカウンターを振る、このパターンが何度か見られました。

内容はほぼ互角だったので、斎藤裕のパンチが思いっきりクリーンヒットする場面も、朝倉未来のカウンターがバチーン!と決まる場面も、そのどちらもなく、片方が当てて、もう片方が当て返して、という感じです。ポイントとしては、パンチのヒット数でやや斎藤裕、相手に与えたダメージの大きさで朝倉未来、くらいの差分は合ったかと思います。

その中で勝負の明暗を分けたのは、アグレッシブさとテイクダウンでした。

ここで、RIZINの判定基準を見てみましょう。

MMA RULES(総合格闘技ルール)

  1. 相手に与えたダメージ
  2. アグレッシブネス
  3. ジェネラルシップ

(優先度順)

RIZINでは、アグレッシブネスという項目を設けており、

試合のペース、場所、ポジションなどの支配についてどちらが優れていたかを評価する。ただし、スタンドポジション及びグラウンドポジションに占めた時間割合を考慮して評価を行う。

としています。斎藤裕は全ラウンドを通して前に出続け、朝倉未来のカウンターを食らっても、一瞬だけ膝が落ちるもののすぐに立て直して反撃をしていました。そのため「前に出続ける」という点でアグレッシブネスの評価を受けることができました。また、カウンターを食らってすぐに反撃に出ていたことも「相手に与えたダメージ」という項目において有利な行動です。

さらに、積極的にテイクダウンを狙い続け、打撃だけでなく総合的に力を発揮していたことも、アグレッシブネスのポイントを高めた要因のひとつだと思われます。テイクダウンを決めることは、それだけ試合を支配していることの証明になります。もちろん、テイクダウンを決めた後、グラウンドで優位に進めればなおのこと良いのですが、テイクダウンを決めるだけでも、総合的に相手を圧倒していることのアピールになるのです。

反対に、朝倉未来はカウンターを狙うスタイルなので、自ら前に出ることは少なく、アグレッシブネスにおいて印象があまりよくありませんでした。また、3R終盤でテイクダウンを狙いにいきましたがギリギリのところで防がれてしまったので、その点も「テイクダウンの力は斎藤裕のほうが上」という印象を作り出してしまった要因かもしれません。

アグレッシブさとテイクダウンといった2つの要素が、アグレッシブネスという項目において優位に働き、3-0で斎藤裕の勝利という結果を生んだのだと思われます。

相手に与えたダメージでは朝倉未来なんじゃないの?

今回の判定結果に対して、「今回の判定はおかしい。朝倉未来が勝っていた。試合後、斎藤裕はあんなに顔を腫らしている。相当なダメージを受けた証拠。反対に朝倉未来は涼しい顔でインタビューを受けていて、ほとんどダメージはない」という意見を述べる人がいます。

これは、確かにダメージの有無で比べればその通りだと思いました。被ダメージの総量で見れば、明らかに斎藤裕のほうが多いです。試合後にあげられたYouTubeでは、眼窩底骨折を疑われるほど目が晴れており、鼻は折れ曲がっていました。対する朝倉未来は、ちょっと晴れているくらいで痛々しさは全くなく、負けた後には思えません。

このように両者を比べてみると、斎藤裕が勝者のようには思えない人がいるのは必然のように思えます。

判定するのは試合中

しかし、これは試合後に分かったことです。判定をするのは試合中ですから、仮に実はひどいダメージを受けていたとしても、試合の中でダメージがあるように見せなければ問題ありません。

ジャッジにダメージがあることを悟られなければ、判定ルールの最優先基準である「相手に与えたダメージ」という項目で優位に立つことができるのです。

斎藤裕は、カウンターを食らった直後に反撃に出ています。実際にどれくらいダメージがあったのかは斎藤裕にしか分かりませんが、傍から見ればすぐ反撃しているのでダメージはないように思えますし、膝が落ちているのもフラッシュダウンに見えます。

このように、試合中、ダメージがないように見せれば、判定に悪い影響を与えることはないのです。

ダイレクトリマッチはやらないほうがいい

試合終了後のインタビューで、朝倉未来が「今すぐにでもやりたい。ダイレクトリマッチしたいですね」という趣旨の内容を話していました。これに関してSNSでは「やめたほうがいい」という声が上がっています。

私自身も、ダイレクトリマッチには反対なので、その理由について話していきたいと思います。

朝倉未来「相手が受けてくれないとね」

ダイレクトリマッチを反対する理由についてお話しする前に、朝倉未来は試合後に投稿されたYouTubeで「相手が受けてくれるならやりたい」と話していたことをお伝えしておきます。敗北した相手にリマッチをしたいのは、格闘技に限らず対戦型の競技であれば当然のこと。しかし、そう簡単にリマッチができるわけではありません。朝倉未来もそのことは理解しており、「相手が受けてくれるならやりたい」と述べていました。

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朝倉未来への贔屓に見えてしまう

まず、ダイレクトリマッチが組まれた場合、RIZINが朝倉未来を贔屓しているように見えてしまいます。「そうまでして朝倉未来を王者にしてストーリーを作りたいのか……」とため息をこぼす格闘技ファンが大勢発生するでしょう。

確かに、朝倉未来はYouTubeで成功を収めており、彼のおかげでRIZINの認知度は飛躍的に向上しました。朝倉兄弟の存在が日本の格闘技界に良い影響を与えていることは間違いありません。

しかし、格闘技の本質は「どちらが強いのか?」の追求です。主催の団体が特定の選手に肩入れをしてしまうことでその純度は下がり、純度の下がった団体はファンからの支持を得られません。「強いから人気が出る」というのは格闘技を主軸においた視点の考え方なので問題ありませんが、「人気のある選手を強く見せる」というのは興業の色が強く、格闘技を手段のひとつにしてしまっているので、格闘技においてはNGです。

格闘技ファンを魅了するのであれば、人気の高さと強さをイコールにしてはいけないのです。

ベルトの価値が損なわれ、団体のレベルも下がる

一般的にタイトルマッチの権利というのは、①トーナメントで勝ち上がる、②強豪相手に勝ち星を積み上げる、のどちらかによって与えられます。また、そのほかに、③他団体の王者としてベルトを賭けて戦う、といったパターンもあります。

どのパターンを見ても分かるように、そう簡単に獲得できるものではなく、本当の強者だけが獲得できる特別な権利なのです。だからこそベルトの価値が高まるのであり、ベルト価値の高さによって団体のレベルが決まります。タイトルマッチの権利が簡単に獲得できるものになれば、ベルトの価値はそれだけ低くなり、団体としてのレベルも下がるでしょう。

RIZINフェザー級の底上げにはGP開催が最適

RIZINフェザー級を底上げするためには、朝倉未来に依存せず、GPトーナメントを行い「本当の強者」を決めることが必要だと思います。名乗りを上げる選手は沢山いるでしょうし、ファイターが多くなり層が厚くなれば、地力の底上げにつながるため、ベルトの価値もそれだけ高まります。団体としてのレベルも上がるでしょう。

国内フェザー級には、斎藤裕・朝倉未来以外にも魅力的な選手が沢山います。ざっと挙げられる代表的な選手だけでも

  • ISAO(第5代・第8代フェザー級キング・オブ・パンクラシスト)
  • 摩嶋一整(第3代Rebel FCフェザー級チャンピオン)
  • 萩原京平(朝倉未来の盟友、白川陸斗にKO勝利)
  • 芦田崇宏(第7代DEEPフェザー級王者)
  • 平本蓮(ゲーオにKO勝利したK-1ファイター)
  • ヴガール・ケラモフ(トフィック・ムサエフと同門)
  • クレベルコイケ(KSWで25勝、サブミッション勝率84%の柔術家)

これだけの選手がいるのです。コロナ禍の今、海外を拠点に活動している選手は呼べないかもしれませんが、国内の選手だけでもトーナメントは組めるでしょう。

斎藤裕は王者なのでGPトーナメントに参加する必要はないと思います。代わりに、防衛戦として他団体の強豪選手と戦って勝利し、RIZINフェザー級のベルト価値を底上げしてくれたら最高ですね。。。トーナメント優勝者と王者の斎藤裕が、ベルトをかけてタイトルマッチを行う。このような形であれば、フェザー級のベルトはより一層高まるのではないでしょうか。

今回のRIZIN25は、フェザー級の始まりを告げる大会だったと思います。今後のフェザー級がどのように盛り上がっていくのか。めちゃくちゃ楽しみです。次回のRIZINは大みそか。朝倉未来の弟である朝倉海が、王者として挑戦者堀口恭司を迎え撃ちます。そのほか、未発表のカードが沢山あるみたいなので、楽しみに待ちたいと思います。それではまた。